2015 設計演習C 第八課題
「JOINT -浸透するかたち-」
「創造力は物質へ浸透することで生きた真のフォルムを獲得しなければならない」
(造形思考/P .Klee)
異なるふたつ以上の道具や既製品(物質)を用いて、それらの持つ点、線 面の要素、質感、量感などに着目する。相互に類型(共通の性質・性格) を見出し、互の性質・性格が浸透し合うように接合する、「JOINT」を描く。その際、「JOINT」を描くことによる、運動性、連続性、コンテクスト(脈絡、背景、過程など)に 留意すること。 提出物: ドローイング(275mm × 275mm)表紙含め3枚以上 材料 : 支持体・紙質、描画、白黒・彩色は自由。出題: 12/2 (水) 提出: 12/9 (水) (13:30時間厳守) 講評: 12/16(水)
文責:TA 三角
|
1X14A121 平井 周介 A++
「ジョイント」。青と赤という色彩にまつわるドローイング。青あるいは赤を物質として捉えることで、様々なスケールで色彩の結合を見て取ることができ、それは、細胞間での事象、河川の汚染、木の年輪の生成による木目など、様々な主体と客体、能動と受動のせめぎ合いを描いた点が素晴らしい。(三角)
|
1X14A114 原田 都木子 A++
1X14A114 原田 都木子 A++
人間の手脚や胴体が筋肉もしくは関節により細かく分節し、力強くJOINTする様子がバレリーナの身体を通じダイナミックに描かれる。同時に描かれる毛髪やチュチュの軽やかさがJOINTに宿る熱量や重量感を効果的に際立たせている。(村上)
|
1X14A063 小林 雄樹 A++
「反ムラビ法典」。橙色を背景として、切り違える、2つの場面。構成の美しさは圧巻である。一方で、両者をつなぎとめるDetailでは両世界観に対する、作者側の意図は描かれていない。(三角)
|
1X14A129 古垣 ゆかり A++
1X14A129 古垣 ゆかり A++
極限まで品種改良された金魚、その姿の艶やかさと生物としての不健全さを描こうとしているのだろう。力強い筆致、巧みな画面構成だが、この作品から得られる結論は作者の中で終わってしまっている。他社の議論を呼ぶ絵とはどんなものか、是非考えてみてもらいたい。(山本)
|
1X14A081 鈴木 優也 A++
1X14A081 鈴木 優也 A++
サバでできたサバ缶の中身は空っぽ。マグリットの「赤いモデル」のように有りえない様相に、あるべきモノの不在が重ねられる。ただマグリットがくつと足の絵に「赤いモデル」と題したように、このシュールな状況に何らかの意味性を示唆するタイトルが表されるべきだったのではないか。(村上)
|
1X14A106 西田 安里 A++
1X14A106 西田 安里 A++
「Air of Joint」と題され、積層したダンボールの小口をスプレーアートとして表現した作品。これは、作者が付題した様な"空気"の表現ではなく、ダンボールが構造的に持つ"物質"の粗密をいかに紙の中に定着させるかを問うた表現である様に感ぜられた。ネガ・ポジの様に焼き付けられた濃淡は作品の介在によるJOINTを強く感じさせる良作である。(早田)
|
「一過性のつながり」と題された。結ばれた手と、菊の花、信号機が象徴的に描かれた作品。それぞれの刹那のJOINTが圧倒的な画力で描かれた作品であるが、アイコンの集積に留まっており、伝えたいことも、使い古されたコマーシャルな態度で終始されている点が無念である。(早田)
|
1X14A133 堀井 秀哉 A++
涙にくれる美少女と板絵の脈絡のない合体、異なった絵柄のジグソーパズルを混ぜたような組みの美意識は興味深い。しかしながらこのテーマをよりショッキングにするためには、美少女の顔は無残に切り刻まれるべきであった。(山本)
|
1X14A008 荒野 颯飛 A++
1X14A008 荒野 颯飛 A++
「Joint -浸透するかたち-」連続性における”中間”をJointとしてとらえた場合に"前者"と"中間"と"後者"といったいわば、JointのためのJointということを考えることは、しばしば起こりうる。そのことをシュールにとらえた点はよくわかるが、作品として、蝶番の物質間や作用、支持に対して、もう一歩、考えられるとよかったのではないだろうか。(三角)
|
1X14A022 大木 玲奈 A++
1X14A022 大木 玲奈 A++
「化粧スル」と題された、湧水色の画用紙に化粧を施された女性が一面に描かれた作品。ほのかに色づいた女性のアクセサリーが身体の一部と同化し、JOINTさせられている。表層こそが真実であるとして、描かれているが、接合することの持つ、価値への倍化に到達されていない点が物惜しい。(早田)
|
1X14A019 梅原 令 A++
車載用にスペシャライズされた機器群、それらが一般的な要素に還元された時に何が起こるか。他愛のない作品だが、車載というジョイントの不在を描くことで、我々の身の周りが普段意識するよりはるかに高度に特殊化していることを教えてくれている。(山本)
|